2026年度の最低賃金改定が、全国の都道府県で順次実施されます。美容室、エステサロン、ネイルサロン、まつげサロン、リラクゼーションサロンなど、スタッフを雇用する店舗では、自店に適用される最低賃金を確認するとともに、人件費と予約状況を踏まえた店舗運営の見直しが重要です。
最低賃金の引き上げに対応するうえで、単純に人員や営業時間を減らせばよいとは限りません。予約が集中する曜日・時間帯とスタッフの勤務時間が合っているか、施術と施術の間に不要な空き時間が生じていないかなど、予約状況とシフトをあわせて確認することがポイントです。
本記事では、2026年度の最低賃金改定の概要と、美容室・サロンが確認したい項目、予約枠やスタッフシフトを見直す際の考え方を解説します。
2026年度の最低賃金改定とは
最低賃金とは、最低賃金法に基づいて定められる賃金の最低限度額です。使用者は、原則として適用される最低賃金額以上の賃金を労働者に支払う必要があります。
厚生労働省が2026年9月3日に公表した「令和8年度最低賃金額答申」によると、47都道府県の地方最低賃金審議会が答申した地域別最低賃金の全国加重平均額は1,177円となり、2025年度の1,121円から56円引き上げられます。
| 項目 | 2026年度の答申内容 |
|---|---|
| 全国加重平均額 | 1,177円 |
| 2025年度の全国加重平均額 | 1,121円 |
| 全国加重平均の引き上げ額 | 56円 |
| 都道府県別の引き上げ額 | 54円~65円 |
| 最高額 | 1,280円 |
| 最低額 | 1,085円 |
| 発効予定時期 | 2026年10月1日~12月2日に順次 |
ただし、全国加重平均額の1,177円がすべての店舗に適用されるわけではありません。地域別最低賃金は都道府県ごとに異なるため、店舗所在地に適用される金額と発効日を確認する必要があります。
また、厚生労働省が9月3日に公表した内容は地方最低賃金審議会の答申を取りまとめたものです。実際の適用額や発効日は、各都道府県労働局などの最新情報を確認してください。
参考:厚生労働省「全ての都道府県で地域別最低賃金の改定額が答申されました」
美容室・サロンも最低賃金の対象
地域別最低賃金は、業種や職種にかかわらず、都道府県内の事業場で働く労働者とその使用者に適用されます。美容師、アイリスト、ネイリスト、エステティシャン、受付スタッフなどについても、雇用している場合は確認が必要です。
正社員だけでなく、パートタイマー、アルバイト、臨時、嘱託なども原則として対象です。そのため、「アルバイトスタッフだから対象外」と判断することはできません。
最低賃金と比較する際は、時給制であれば時間給をそのまま確認します。日給制や月給制などの場合は、賃金を時間額へ換算して比較します。
| 給与形態 | 基本的な確認方法 |
|---|---|
| 時間給 | 時間給と最低賃金額を比較 |
| 日給 | 日給÷1日の所定労働時間で時間額へ換算 |
| 月給 | 月給÷1カ月平均所定労働時間で時間額へ換算 |
最低賃金の計算では、すべての手当や支給額をそのまま含められるわけではありません。実際に確認する際は、厚生労働省の算定方法や各都道府県労働局の案内を参照してください。
最低賃金改定を受けてサロンが確認したい4つのポイント
最低賃金への対応では、まず賃金が基準を満たしているかを確認することが必要です。そのうえで、人件費の変化を店舗運営へどのように反映するかを検討します。
1.店舗所在地の最低賃金と発効日
最初に確認したいのが、自店舗が所在する都道府県の最低賃金額と発効日です。複数店舗を展開し、店舗が異なる都道府県にまたがっている場合は、それぞれの所在地について確認します。
2.スタッフごとの賃金
時給制のアルバイト・パートスタッフだけでなく、月給制などのスタッフについても確認します。最低賃金の対象となる賃金を時間額へ換算し、改定後の金額を下回っていないかを確認することが重要です。
3.曜日・時間帯ごとの予約状況
賃金を確認した後は、店舗の予約状況を見直します。サロンでは、平日昼間、平日夕方、土日などによって予約数が大きく変わる場合があります。
例えば、予約が少ない時間帯に多くのスタッフが勤務する一方で、夕方や土日に予約枠が不足している場合は、予約需要とスタッフ配置にずれが生じている可能性があります。過去の予約状況を確認し、曜日・時間帯ごとの傾向を把握することが重要です。
4.スタッフの勤務時間と予約可能枠
スタッフのシフトと、実際に公開している予約枠が一致しているかも確認します。出勤していないスタッフの予約枠が開いていたり、勤務スタッフが増えている時間帯でも受け付けられる予約数が変わっていなかったりすると、予約機会を十分に活用できません。
予約状況に合わせてスタッフ配置を見直す
最低賃金の引き上げを受けた店舗運営の見直しでは、「スタッフ数を減らす」ことを前提にするのではなく、まず現在の予約需要と勤務体制が合っているかを確認します。
確認したいのは、予約件数だけではありません。予約が入る時間帯、施術メニュー、担当スタッフ、所要時間などを組み合わせて見ることで、店舗の実際の稼働状況を把握しやすくなります。
| 確認する項目 | 確認したい内容 | 見直しの例 |
|---|---|---|
| 曜日別予約数 | 予約が集中する曜日、少ない曜日 | 曜日ごとの勤務人数を確認 |
| 時間帯別予約数 | 午前・午後・夕方などの予約傾向 | 出勤・退勤時間とのずれを確認 |
| メニュー別予約数 | よく予約される施術と所要時間 | 必要な担当スタッフや予約枠を確認 |
| 担当者別予約数 | スタッフごとの指名・予約状況 | 勤務時間と予約枠を調整 |
| 空き時間 | 予約と予約の間に発生する時間 | 予約間隔やメニュー時間を確認 |
予約が集中する時間帯へ無理に予約を詰め込むのではなく、スタッフの勤務状況、休憩、施術前後の準備なども含めて、対応できる予約数を設定することが大切です。
施術時間・準備時間を含めて予約枠を確認する
美容室やサロンでは、施術時間だけがスタッフの業務時間ではありません。施術前の準備、使用した設備やスペースの片付け、カルテ入力、会計、次の顧客を迎える準備なども必要です。
そのため、稼働率を高めようとして予約枠だけを増やすと、スタッフが休憩できない、次の予約準備が間に合わないといった問題につながる可能性があります。
予約枠を見直す際は、次の予約までに実際に必要な時間を確認し、施術メニューごとの所要時間や予約間隔を設定します。予約が入っていない時間をすべて「無駄な時間」と考えるのではなく、店舗運営に必要な準備時間と、改善可能な空き時間を分けて考えることがポイントです。
予約データを次のシフト作成に活用する
シフトを作成する際、これまでの経験や感覚だけで勤務人数を決めている場合は、過去の予約データもあわせて確認すると、判断材料を増やせます。
例えば、直近数カ月の曜日別・時間帯別の予約数を確認すると、「土曜日は終日予約が多い」「平日は夕方以降に集中する」「月末は特定メニューが増える」といった傾向を把握できます。
こうした傾向とスタッフの勤務時間を照らし合わせることで、次月以降のシフトや予約可能枠を検討しやすくなります。繁忙時間帯に必要なスタッフを配置しながら、予約が少ない時間帯についても受付時間や担当者配置が適切かを確認できます。
最低賃金改定時に確認したいサロン運営チェックリスト
- 店舗所在地の2026年度最低賃金額を確認した
- 改定後の最低賃金が適用される日を確認した
- パート・アルバイトを含むスタッフの賃金を確認した
- 月給制などの場合は時間額へ換算して確認した
- 曜日・時間帯ごとの予約件数を確認した
- スタッフのシフトと予約可能枠が一致しているか確認した
- 施術時間と準備・片付け時間を確認した
- 予約と予約の間に不要な空き時間がないか確認した
- 繁忙時間帯に必要なスタッフを配置できているか確認した
- 過去の予約データを今後のシフト作成に活用できる状態にした
最低賃金への法令対応と、予約・シフト管理の効率化は別の取り組みです。まず適用される最低賃金を確実に確認したうえで、改定を店舗運営の見直しにつなげることが重要です。
予約・シフト管理を効率化する「RESERVA」

RESERVA salonは、美容室、エステサロン、ネイルサロン、まつげサロン、リラクゼーションサロンなどの予約受付・管理に活用できる予約システムです。Webから24時間予約を受け付けられるほか、スタッフの勤務状況に応じた予約管理や、予約データの確認にも活用できます。
担当者シフト登録
「担当者シフト登録機能」では、担当者ごとに勤務する曜日や日付ごとの勤務時間を登録し、予約枠へ反映できます。
毎週決まった曜日に勤務するスタッフは「曜日ごと」、勤務日や勤務時間が毎月変わるスタッフは「日ごと」で管理できます。午前勤務や短時間勤務などにも対応できるため、スタッフごとに異なる勤務予定を予約受付へ反映しやすくなります。
また、登録したシフトと担当者1人あたりの同時間対応数をもとに、各時間帯の予約可能数を設定できます。勤務人数と予約枠を連動させることで、その日の対応体制に合わせた予約受付が可能です。
予約カレンダー
予約カレンダーでは、受け付けた予約をカレンダー形式で確認できます。日・週・月単位で表示できるほか、メニューや担当者などで絞り込んで確認できるため、スタッフごとの予約状況を把握する際にも活用できます。
準備時間設定
準備時間設定を利用すると、予約と予約の間に必要な時間を設けられます。施術後の片付けや次の予約者を迎える準備など、サロンごとの運用に合わせて予約枠を設計する際に役立ちます。
予約データCSV出力
予約情報はCSV形式で出力できます。メニューや担当者など必要な情報を絞って出力し、Excelやスプレッドシートで集計することで、予約状況を確認するためのデータとして活用できます。
例えば、予約日、メニュー、担当者などを整理し、曜日別・時間帯別の予約傾向を見ることで、今後のシフトや受付枠を検討する際の参考にできます。
※利用できる機能や条件は予約タイプ・料金プランによって異なります。最新の対応状況はRESERVA salonの料金・機能一覧をご確認ください。
最低賃金引き上げに利用できる支援制度も確認
厚生労働省では、中小企業・小規模事業者の生産性向上と事業場内最低賃金の引き上げを支援する「業務改善助成金」を設けています。
業務改善助成金は、事業場内最低賃金を一定額以上引き上げ、生産性向上に資する設備投資などを行った場合に、その費用の一部を助成する制度です。対象条件、申請時期、助成対象となる設備投資などには要件があるため、利用を検討する場合は最新の制度内容を確認してください。
よくある質問
美容室やサロンにも最低賃金は適用されますか?
はい。地域別最低賃金は業種や職種を問わず、都道府県内の事業場で働く労働者とその使用者に適用されます。美容室やエステ、ネイル、まつげサロンなどで雇用されるスタッフも原則として対象です。
アルバイトやパートにも最低賃金は適用されますか?
原則として適用されます。地域別最低賃金は、正社員、パートタイマー、アルバイト、臨時、嘱託など、雇用形態や呼称にかかわらず適用されます。
2026年度の最低賃金は全国一律1,177円ですか?
いいえ。1,177円は、2026年度の地方最低賃金審議会の答申をもとに算出された全国加重平均額です。実際に適用される地域別最低賃金は都道府県ごとに異なるため、店舗所在地の金額を確認する必要があります。
最低賃金の改定に合わせてシフトを減らす必要がありますか?
最低賃金の改定そのものが、勤務人数やシフトの削減を求めるものではありません。まずは改定後の最低賃金を満たしているか確認し、そのうえで予約状況、スタッフの勤務時間、施術に必要な時間などをもとに、自店に適した勤務体制を検討します。
予約データはシフト作成にどのように活用できますか?
曜日別・時間帯別・担当者別などの予約状況を確認すると、予約が集中する時間帯や比較的余裕のある時間帯を把握できます。過去の傾向とスタッフの勤務予定を照らし合わせ、今後の勤務人数や予約可能枠を検討する際の参考にできます。
まとめ
2026年度の地域別最低賃金は、全国の都道府県で引き上げられる見込みです。美容室やサロンでは、まず店舗所在地の最低賃金額と発効日を確認し、雇用するスタッフの賃金が基準を満たしているか確認する必要があります。
そのうえで、最低賃金改定を店舗運営を見直す機会として活用できます。曜日・時間帯別の予約状況、スタッフの勤務時間、メニューごとの施術時間、予約間の準備時間などを確認し、予約需要とシフトのずれがないか整理することがポイントです。
RESERVAでは、担当者シフト登録、予約カレンダー、準備時間設定、予約データCSV出力などを活用して、スタッフの勤務状況と予約受付を管理できます。人件費だけに着目するのではなく、予約状況とスタッフ配置の両面から、自店に合った運営方法を検討しましょう。


